"3300円の3回払い" アーノルドはナイフ販売界のレジェンドだった
アーノルドのファンになる
前回紹介した通販番組のアーノルドおじさん。
何回か見ているうちに、個人的にアーノルドのファンになってしまいました。
まずこの屈託のない笑顔はどうでしょう。冒頭でロンが「彼(アーノルド)が僕のナイフを紹介したがっているんだ」と言いアーノルドにバトンを渡します。そのときの表情といったら、本当にナイフの良さを伝えたくてたまらないのだろうと客に思わせる無害さ、愛嬌があります。
そして実演がはじまると、マジックショーのように観客を魅了していきます。役者経験はあるようですが、それにしてもそのテクニックは只者ではありません。
驚くべき点として、アーノルドの実演はすべてリアルタイムです(後半のロンは事前収録した映像が多い)。軽妙なトークで観客の笑いをとりながらパイナップル、アルミ缶、さらには金槌まで様々なものをスパスパと切っていきます。(初めて使うナイフにしては妙に手慣れていますが)。
一番感動したのはトマトスライス一瞬にして段々にずらしたシーン。話術だけでなく実際の道具の使い方も見事なのがアーノルドの魅力といえます。
「3300円の3回払い」の強烈さ、”無限の剣製”と揶揄されるナイフの数々のおかげでアーノルドもネタ化されていますが、彼の実演テクニックは達人級だと思われます。
衝撃の事実
実はアーノルド、アメリカで「実演販売界の大御所」ともいえるレジェンドだったのです。彼がどのように実演販売の道を歩んできたのか、まとめます。
アーノルド・モリスは1929年ロサンゼルス生まれ。役者として苦しい生活を送る中、彼の名前を全米で一躍有名にしたのは"ギンスナイフ "(Ginsu knife)というナイフの宣伝。
※CMは明らかに日本っぽい雰囲気ですが、アメリカのナイフメーカー。名前も日本っぽいというだけで特に意味はないそう。
上のCMに直接アーノルドは写っていませんが、缶を切ったりトマトをスライスしているところなど共通点が沢山あります。このギンスナイフの実演販売でアーノルドは大活躍。ただ人を楽しませるだけでなく、客の購買意欲を駆り立てるビジネスマンとしての素質も持っていたアーノルドは、一躍実演販売の顔となりました。
そんなアーノルド、TVではどこか憎めないお茶目な姿を見せていますが、普段はおとなしい性格で誰よりも商品に熱心だったそう。
2013年に84歳でその生涯を閉じたアーノルドですが、ナイフ販売界に多大な貢献をしたことからまたの名をザ・ナイフ。
アーノルド・ザ・ナイフ。
参考文献
- https://infomercial.com/infomercial_host/arnold-morris/
- What the Dog Saw, And Other Adventures - PEN America