ファイマンの冗談

アマゾンの奥地へと向かったら意外と居心地が良くて住み着いてしまった探検隊

春のコンキスタドール

 春の到来を告げるが同時に、彼らは突然この街にやってきた。

 

 自由に外を歩ける日々がなんと恵まれていたか。そう切に思うころには、街中が”奴ら”で溢れかえっていた。

 

 外で狼藉の限りをつくすに飽き足らず、奴らは家々に我が物顔で忍び込む。そしてようやく日が暮れた隙を狙って、寝込みを襲うのだ。

あのときの苦しさといったら! 

家の中でも彼らの存在に脅え、部屋の片隅でひたすらに時が過ぎていくのを待つばかりだ。

 

 少し外に出るときも、標的にされないようにコートに顔を埋めてひっそりと歩く。周囲からは不審者と思われているかも知れないが、ほんの一瞬の油断によって数々の憂き目を見てきたので今更気にならない。

 

 嗚呼、憎い。狼藉の限りをつくす奴らを。二度と好き勝手に私達のことを苦しめることのないよう、全部まとめて宇宙の彼方に飛ばしてやりたい。

 

 

 

 

 

 

 

窓からさしこむ陽光。こんな日は思わず呟く

「ああ、今日も飛んでいるな」

奴らとの闘いは、いつになったら終わるのだろうか。

 

 

 

 

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